HIV感染症は、治療を続けることで健康にすごせる慢性疾患となりました。その一方で、HIV陽性の方々がご高齢になり長期的な療養が必要となったとき、生活の場を支えるシステムはまだ十分ではありません。
私たちは、これまでHIV陽性の方の長期療養の場を提供した経験のある、さまざまな施設や病院、訪問看護ステーションを訪れ、その経験をお伺いいたしました。インタビューを行ったのは、HIV陽性の方々の暮らしを支える、経験豊富な国立病院機構・東京医療センターのソーシャルワーカーです。
このたび、インタビューの内容をまとめた小冊子「HIV陽性者×長期療養 今からできること〜長期療養を支えた専門職へのインタビューを通じて〜」を作成いたしました。この小冊子の第1の目的は、HIV陽性の方を受けいれることをご検討くださる方々の参考にしていただくことです。
どんな準備をすればよいのか、誰に相談すればよいのか、そして、その後職場の何が変わっていったか、など具体的な情報がたくさん集まった内容になりました。
第2の目的は、HIV陽性者の当事者のみなさまにこのような長期療養の場があることをお伝えすることです。長期療養の場の拡充は国の方針です。ぜひ、ご感想やご要望をお寄せいただけましたらありがたく思います。よりよい長期療養の場の実現のために、ご意見を反映させて参ります。
<目次>
はじめに
HIVとエイズに関する基礎知識
受け入れ事例1:回復期リハビリテーション病棟を有する病院A
受け入れ事例2:有料老人ホームB
受け入れ事例3:回復期リハビリテーション病棟・療養型病棟を有する病院C
受け入れ事例4:訪問看護ステーションD
受け入れ事例5:介護老人保健施設E
受け入れ事例6:一般病棟・緩和ケア病棟を有する病院F
受け入れ事例7:有料老人ホームG
インタビュアー座談会
まとめに・全国拠点病院案内
実施者
厚生労働行政推進調査事業費補助金(エイズ対策政策研究事業)「HIV感染症の医療体制の整備に関する研究」班
主任研究者・国立病院機構名古屋医療センター 横幕能行
分担研究者・国立病院機構東京医療センター 本田美和子
研究協力者・国立病院機構東京医療センター 福長暖奈、津々見瑞恵、草野愛、小笠原太、中村英樹
研究名称
HIV感染者の長期療養体制整備のための療養施設受け入れ実態調査に基づく長期療養サポート啓発資料作成
期間
2017年2月〜2019年12月
方法
HIV陽性者の受け入れを行っている長期療養型の施設(全24施設)を訪問し、関係者に個別インタビューを実施